【武漢書簡08】私たちの中にいる「もう一つ」のウイルス (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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【武漢書簡08】私たちの中にいる「もう一つ」のウイルス

連載「私はウイルス——武漢ロックダウン日記」

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「好想出去丸」――一見、薬のようだが、武漢市民がフォトショップで作ったもの。「好想出去丸(出かけたい薬)」と「好想出去玩(遊びに出かけたい)」は音が同じ。長期にわたって閉じ込められた武漢市民のユーモア(インターネットから)

「好想出去丸」――一見、薬のようだが、武漢市民がフォトショップで作ったもの。「好想出去丸(出かけたい薬)」と「好想出去玩(遊びに出かけたい)」は音が同じ。長期にわたって閉じ込められた武漢市民のユーモア(インターネットから)

いずれも市民に集会の禁止を呼びかける、対新型コロナウイルス警戒のスローガン(インターネットから)

いずれも市民に集会の禁止を呼びかける、対新型コロナウイルス警戒のスローガン(インターネットから)

 新型コロナウイルスによる肺炎が流行した武漢で、作家の方方氏が発表し続けた日記が世界の注目を集めた。温和で、中国共産党の権威に挑むものではまったくなかったが、流行を食い止められなかったことについて責任を追及する考えを示しただけで、中国国内で2カ月にわたり数千万のネットユーザーの袋叩きに遭い、脅迫を受けた。この「私はウイルス――武漢ロックダウン日記」は、方方氏と同じく武漢で暮らす一般市民の男性「阿坡(A.PO)」が、中国共産党を批判する反省の書として記したものだ。「一人の健全な精神を持つ中国人」として、世界に向けてお詫びの気持ちを示したいという。新型ウイルスの感染拡大は、国家の邪悪のみならず、自分たちの中に巣くうウイルスによるものだ、と阿坡は言う。

【写真】市民に集会の禁止を呼びかける警戒のスローガンはこちら

*  *  *

■2020年2月12日 私たちの中にもう一つのウイルスがいる(8)

 ロックダウン後、17年前のSARS流行が武漢であまりひどくなかったため武漢人も武漢市当局もSARSの教訓を生かせず対応が遅れたと反省する人が少なくなかった。本当にそうなのか? 明らかにそうではない。

 今回ウイルスの流行を制御できなかった原因はただ一つ、私たちが当局を赦免し、人命を最優先しない体制の行政ロジックを容認してきたからだ。

 私たち自身、今もって有効な薬剤が確認されていないという状況でなければ終日びくびくと暮らしたりはしないだろうし、致命的な危機がいつ何時自分の身に降りかかってくるか分からないと切実に感じたりはしないだろう。危機が深刻であるから私たち武漢人は平気ではいられないだけなのだ。身近に危機がなければ、新型コロナウイルスが他人事であれば、誰も現状に異を唱えたりしない。

■脳の中にいるウイルス

 私たち一人ひとりの脳の中にウイルスがいる。それは今回の新型コロナウイルス同様、どこから来たものか、どのような経路を経てきたのかいまだ確定できない。しかし、一度爆発的に広がると、一度感染すると命にかかわる可能性がある。


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