「yumbo」澁谷浩次のソロは自らの洋楽体験のトレースを目指す (2/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

「yumbo」澁谷浩次のソロは自らの洋楽体験のトレースを目指す

連載「岡村詩野の音楽日和」

岡村詩野AERA
「yumbo」のライブ写真(一番右のピアノに向かっているのが澁谷さん 写真提供_7 e.p.)

「yumbo」のライブ写真(一番右のピアノに向かっているのが澁谷さん 写真提供_7 e.p.)

「yumbo」の最新作「鬼火」のジャケット写真(写真提供_7 e.p.)

「yumbo」の最新作「鬼火」のジャケット写真(写真提供_7 e.p.)

 彼の周辺には、影響を受けた工藤冬里率いる「マヘル・シャラル・ハシュ・バズ」、「yumbo」をリリースしたこともあるレーベル「マジキック」主宰の男女デュオ「テニスコーツ」、著書『うたのしくみ』で知られる学者で音楽家の細馬宏通など、それぞれに自らの時間軸をしっかり持つ表現者が多い。彼らの作品は、つまらない雑事に流されずに生きるために、たっぷりのユーモアと精いっぱいのロマンで社会と対峙(たいじ)しようとしているように思う。

 澁谷が久しぶりにソロ・ワークを制作中だという。これまでもソロ名義で作品を発表してきたが、少なくとも先行曲として音楽プラットホーム「Bandcamp(バンドキャンプ)」で販売中の「Lots of Birds」は、全編英語で歌われていることを含め、「yumbo」とは少し異なる作品になっている。ピアノの弾き語りをベースにしたシンプルな作風は、例えばランディ・ニューマンやローラ・ニーロといった1960~70年代のシンガー・ソングライターの作品を思わせる。志賀理江子が監督した短編ロードムービーのようなPVを観ると、この楽曲が、いや、今回のソロ・ワークが、かなりパーソナルな告白的作品ではないかという気もする。

 PVには日本語字幕がついているが、それを読むと、今の彼自身や過去の様々な記憶と向き合っているようにも思えるのだ。特に、「呂律(ろれつ)の回らない口調で/君に責められたことがあった/歌で誰かを/傷つけていると」「たくさんの鳥が/庭に居て/一羽ずつ/鳥かごに入っている」とつづられたパートが示唆的だ。歌で誰かを傷つけたのは果たして自分なのか?鳥かごに閉じ込められた鳥も自分なのか?それとも世の中の他者なのか――?そして、これは聴いている私やあなたのことでもあるのではないか?「yumbo」を含め、ここまで赤裸々に自らの内面を見つめ、自問自答したことはなかったのではないか、と思えるのだ。


トップにもどる AERA記事一覧

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい