記者が「良かったこと」として挙げたのが「夫の在宅勤務」。男性も家事育児に参加しやすい環境が、コロナ禍で進んだことはプラスだ
記者が「良かったこと」として挙げたのが「夫の在宅勤務」。男性も家事育児に参加しやすい環境が、コロナ禍で進んだことはプラスだ

 様々な場面で「新しい生活様式」を迫られるコロナ禍。出産に関しても、これまでとは様相が異なるようだ。AERA dot.編集部の記者が、コロナ禍のなか7月中旬に第2子を出産。実家に頼れない産後生活の不安から無痛分娩を選択したり、入院中も夫の面会がわずか15分だったりと、出産はもちろん、その後の過ごし方も第1子の時とは大きく違っていたと振り返る。AERA 2020年8月24日号では、記者がコロナ禍の産後生活について明かした。

【画像】妊婦がコロナ禍の出産で抱える不安はこちら

*  *  *

 入院中は面会禁止のため、4泊5日、追加で差し入れしてもらわなくて済むよう、スーツケースには入院用のパジャマや肌着の着替えのほか2リットルの飲み物を3本詰め込んだ。小分けの洗剤を持参して肌着は自分で手洗い。除菌シートも準備して、取っ手やスイッチをこまめに拭いた。自宅にいる夫と長男とのLINE電話が数少ない楽しみだった。

 出産したクリニックは全室個室で、前回は食堂に集まってほかの妊産婦とご飯を食べたが、今回は自室に配膳。授乳指導も自室で行われ、ほかのママたちと顔を合わせることはほぼなかった。普段なら面会客でにぎわって祝福ムードが漂うクリニックは静まり返り、孤独を感じた。

 名前を決めるのは時間がかかった。長男の時と同じように出産前に候補を絞って、赤ちゃんの顔を見て決めることにしていたが、用意していた名前は「なんか違う」と感じた。

 妊娠がわかったころには想像もしていなかった新型コロナの感染拡大。新たな生活様式の実践も強いられている。そんな新たな時代に生を受けたことに特別な意味を感じていた。出生届の提出期限ぎりぎりまで夫と悩み、新しい時代を力強く生きていってほしいという思いを込めて名前をつけた。

 今回、この出産体験を載せることになり、電話取材を受けていたとき、在宅勤務中の夫からメモを手渡された。そこには「コロナの妊娠・出産は夫にも大きなストレスです」とあった。

次のページ