「かつては、家賃補助、交通費補助などが移住施策の主流でした。でもそれだけでは人は動きません。そこでどんな暮らしができるのか。ニーズは多様です。スカウトをきっかけに、1対1の会話が始まってほしいという狙いがあります」

 城戸さんの場合、「キャンプや写真が趣味です」と登録したら「うちの町ではこんな星空の写真が撮れますよ」などのメッセージが30件以上届いたという。単なる定型文の一斉送信ではなく、希望に沿って適切にアピールしてくれるメッセージの数々に城戸さんも満足げだ。

 コロナ禍の下での人の移動について慎重な声があることも確かだが、今回取材に応じてくれた人たちはみな、感染対策や体調管理を徹底していた。

「この時期に移動を伴う働き方を選ぶという選択肢は、後ろ指をさされる可能性もあります。その部分も背負って、細心の体調管理をし、自分の生き方を自分でデザインするしかないのだと思います」(サブスクリプション型住居サービス「HafH(ハフ)」・大瀬良亮さん)

(編集部・高橋有紀)

AERA 2020年8月10日-17日合併号より抜粋