自転車を本気で漕ぎながら演じるシーンに関しては、演技でない部分も多いと思います。本当に体力の限界ギリギリまで出し切って走っていたので、体力も消耗して「はぁはぁはぁはぁ」という息遣いは、もうリアルです。その迫力は映像越しにも伝わると思います。

 撮影を通して実感したのは、「チーム」で挑む楽しさだ。永瀬が所属するKing&Princeも仲の良さには定評があるが、改めて感じたこともある。

永瀬:撮影中、精神的にも体力的にもつらい部分があったのですが、メンバーには助けられました。基本、僕たちはみんなやることがおバカなので、それを見て笑っていると元気になるんです。ロードレースみたいにしっかりした役割分担があるわけではないけど、長い付き合いなので「あ、今○○疲れているな」みたいなのは、お互いわかりますから。やはりグループでよかったなと思いましたね。でも、それを感じられるようなグループでのお仕事や、メンバー同士が距離感なく一緒にいられることは、実は当たり前ではないんだと感じました。新型コロナでの自粛期間中には、日常の尊さも考えたりしました。

 本作もクランクイン後に緊急事態宣言が発令され、撮影が中断した。6月に再開したが、「公開に間に合うのかドキドキしていた」と振り返る。

永瀬:映像を観たときは、もう達成感しかなかったです。撮影をしているときはすごく大変でも、こうして終わってみると、経験できてよかったなあと、毎回思います。だから、また新しいチャレンジがしたい。ここ数年は舞台「JOHNNY S’IsLAND」でも毎年チャレンジをしているので、挑戦しないと駄目な体になっているのかもしれません。でも、虫を食べるのは苦手です。昔、Princeが深夜番組で食べているのを見て、「はあ~、俺、絶対に無理」と思いました。バンジージャンプとかは怖いけれどやってみたいという好奇心が勝つんですが、虫が胃に入るのは受け付けないです(笑)。

 新型コロナが終息したら、したいことを聞かれると即答した。

永瀬:やはりライブですね。ファンのみなさんと一緒に、たまっていたものを発散したいです。特別な言葉をかけるのではなく、僕はいつもどおりにいきます。

(ライター・大道絵里子)

AERA 2020年8月10日-17日合併号