そして、一連の政府の対応から伊藤さんが注目している点がほかにもある。こう続けた。

「定額給付金の10万円もそうでしたが、官邸は世論に動かされています。反発があるとすぐに引っ込める。安保法制や特定秘密保護法案など、これまで世論の激しい反発を押し切ってきましたが、それが変わった。明らかに弱体化しています」

 どんな理由で、誰を、どのように支援するべきなのか。政府と国民の両方に確固とした信念がなければこれからもコロナ対応の迷走は続き、しわ寄せは国民に来るだろう。(編集部・小田健司)

AERA 2020年8月3日号より抜粋