子どもから大人まで幅広い年齢で遊べる設計のゲームも多い。「全員が遊べるように、複雑すぎず、おもしろそうなものを。あとは、片付けがラクそうなものを選んでいます」(東京都の男性会社員)(撮影/写真部・掛祥葉子)
子どもから大人まで幅広い年齢で遊べる設計のゲームも多い。「全員が遊べるように、複雑すぎず、おもしろそうなものを。あとは、片付けがラクそうなものを選んでいます」(東京都の男性会社員)(撮影/写真部・掛祥葉子)
AERA 2020年7月27日号より
AERA 2020年7月27日号より
AERA 2020年7月27日号より
AERA 2020年7月27日号より
AERA 2020年7月27日号より
AERA 2020年7月27日号より

 ボードゲームが売り上げを伸ばしている。レジャーに出かけなくても、大人も子ども楽しめるだけでなく、子どもの成長にも一役買ってくれるという。AERA 2020年7月27日号から。

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“ステイホーム”が励行されていた時期、売り上げを伸ばしていたものがある。ボードゲームやカードゲームだ。

「2月後半から売り上げがあがり、3月に一気に伸びました」

 こう話すのは、茨城県を中心に書店「ブックエース」を23店舗展開する同社商品本部の伊達慶彦さんだ。「TSUTAYA L
ALAガーデンつくば店」(茨城県つくば市)は、昨年4月にボードゲームを取り扱い始めた。当初は月15万円ほどの売り上げだったが、品ぞろえが評判を呼び、年末商戦には40万円まで伸びた。新型コロナウイルスによる巣ごもり需要はさらにそれを上回り、4月、5月と50万円近い売り上げが続いた。客層は子どもから高齢者まで幅広く、ファミリー層が特に多い。

 常時600種類ほどのボードゲームを揃える国内最大級のボードゲーム専門店「すごろくや」(東京都杉並区)も、売り上げが3~4倍に伸びた。代表の丸田康司さんによると、「私たちがワードゲーム系と呼んでいる、簡単に遊べるゲームの売り上げが特に伸びました」。

 レジャーに出かけなくても、室内で子どもも大人も一緒に楽しい時間を過ごすことができる。ボードゲームは、メソポタミア文明のころから存在が確認されている、人類と共にある娯楽だ。広い意味でいえば、囲碁やすごろくもボードゲームだ。

 ここしばらく、静かなブームになっていた。ボードゲームジャーナリストの小野卓也さん(47)は、こう語る。

「ボードゲームは10年ほど前までは、いわゆるマニアの趣味でした。日本最大のイベント、ゲームマーケットに訪れるのも、30代、40代の男性が多かった。けれどもこの10年ほどで、20~30代がぐんと増えました」

 きっかけのひとつは、2011年の東日本大震災だ。

「節電が求められ、自宅で過ごす時間が増えて、ボードゲームが注目された。家族のきずなが叫ばれたときの話です」

 ゆるやかなヒットが続く中、今年はコロナ危機が訪れ、巣ごもり需要で再注目されている。

 自粛期間が明けても、人気は陰りを見せていない。ボードゲームやカードゲームを豊富にそろえる東急ハンズ池袋店(東京都豊島区)は、営業自粛明けの5月25日から6月7日にかけてイベントを開催した。同店7階バラエティーコーナー担当の岡田治さんは、「売り上げは2倍程度に伸びた」という。人気は、「ルールは難しくないが、相手との駆け引きで勝ち負けが決まる、子どもから高齢者まで楽しめるもの」(岡田さん)。定番の「人生ゲーム」「モノポリー」、「ナンジャモンジャ」「たった今考えたプロポーズの言葉を君に捧ぐよ。」などが売れ筋だ。

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