『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』の著者で漫画家の水谷さるころさんは、こう指摘する。

「多くの女性は頑張って苦労すると安心して、ラクをすると罪悪感を持ってしまう傾向が強い。まずは自分の中のこうした意識を排除することに全力を尽くすべき。無意識下にある『女だからやらなきゃ』という葛藤を抱えている限り、分担の話し合いがうまくできない。敵は夫ではなく、『ラクになるよりも、より苦労をしたほうが妻としては美徳』と無意識に感じる自分なんです」

 水谷さんと夫は、食事作りとそれに関連する買い物や後片づけを夫が担い、掃除や洗濯などは水谷さんが担う担当制だ。互いに離婚経験があり、「不満をためこんだり、我慢を続けたりすることで取り返しがつかない結果になることを知っている」(水谷さん)ことから、小さなことでも徹底して話し合って解決することを重視している。

「わが家では『察して』は禁止で、あくまで『お願いする』が基本です。面倒なようですが、相手のイライラを察する必要がないので、むしろラクです」(水谷さんの夫のノダDさん)

 前出の三木さんも言う。

「『男性は家事を嫌がる』と思い込む女性は多いのですが、実際はパートナーが負担に思っていることに気づいていないだけということは多い。『いまさら』とあきらめず提案してみて」

 水谷さんは、最後にこうアドバイスする。

「家事シェアの問題は家事そのものより、夫婦で話し合えないことが根底にあります。その場を収めるだけなら我慢するほうが簡単ですが、それでは解決にならない。日々スクワットするようにささいなことも言語化して伝える練習を重ねることが大事だと思います」

(ライター・森田悦子)

AERA 2020年7月27日号より抜粋