「玄米のγ‐オリザノールが脳内にとどまるのは食後8時間。その後は体外に排出されてしまうので、脂っこい食事がやめられない人は、たとえば茶碗1杯分の玄米を朝夕食べ続けるといいでしょう」(益崎教授)

 次は「食べ方」について。ここにも、脳の暴走を止める鍵がある。テレビを見ながらなんとなくスナック菓子を口にする、携帯をいじりながら数分でランチを掻き込む……。前出の久賀谷医師は、こうした食べ方は脳の欲望のままに動く「自動操縦モード」の状態にあると指摘。

「食欲は『抑えつける』のではなく、『うまく乗りこなす』ことが大切です。まずは漫然と食べることをやめましょう。目の前にある食べ物や自分の体の状態に意識を向けることで、この自動操縦モードから抜け出すことができます」

「今、ここ」に注意を向けるこの方法は、「マインドフルネス」という思考法に基づいている。集中力やストレス耐性の向上などでも注目されているメソッドだ。

 久賀谷医師がすすめるのは「食前セレモニー」だ。食事に手を付ける前に、(1)呼吸を整える(2)料理の素材や調理法、盛り付けなどに注意を向ける(3)今、どのくらいおなかが空いていて、どのくらい食べたいのか考える。30秒間かけて、この3ステップを踏む。

 こうして「間」を取ることで、自動操縦モードを止め、いつもの食べグセから脱却することができるという。じっと注意を向けるのが難しい人は、メモをとってもいいし、呼吸法を見直してもいい。

 ポイントは「食事や体に対する注意を向けること」にある。コンビニで買った惣菜を皿にうつして盛り付ける、自分で料理を作る、野菜を育てるなど、食に対するかかわりを増やすこと自体も効果的だという。

 また、自分に優しくしたり、他人に感謝することも効果があるという。

「ダイエットとは無関係に思われるかもしれませんが、自分をいたわり優しくし、人に感謝の心を持つと脳にある後帯状皮質の活動が低下し、脳の暴走を抑えることがわかっています」(久賀谷医師)

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