「やせたいのに食べてしまうのは、意志が弱いからではなく脳の問題。脳内物質を調整する行動をとることで、“やせ脳”に生まれ変わることができます」(工藤医師)

 甘いものがやめられない人なら、甘いもの以外でセロトニンを増やす方法をとる。日光を浴びる、軽いジョギングや散歩、ガムを噛むなどの反復・リズム運動によっても、セロトニンは増えるという。下記の脳に効く食べ物と習慣のなかから、自分に合ったものを試してみるといいだろう。

「どの方法が合っているのかは、体質や太った原因、性格によっても異なります。糖質で太る人もいれば、脂質で太る人もいる。自分にとって効果的なダイエット法を知るために、体重や日々の食生活を記録してみてください」(同)

 糖質同様、脂質にも強い中毒性があることが指摘されている。琉球大学医学部の益崎裕章教授(56)はこう話す。

「ハンバーガー、フライドチキン、ステーキ、バターや生クリームなど、人間の脳は動物性脂肪たっぷりの食べ物が大好きです。それは、脳という臓器が脂の塊だから。研究時にネズミの脳を解剖すると、手袋がヌルヌルするほど脂まみれになります。脂の塊である脳が潜在的に脂を求めるのです」

 さらに高脂肪食を食べると、脳は体に対して「もう栄養は足りているから、体を動かさなくていいよ」という指令を出してしまうという。野生動物が飢餓と闘ってきた歴史から、現代人にとっては矛盾するプログラミングが脳に残っていると益崎教授は解説する。

「ネズミに動物性脂肪を与えると運動量がパタッと落ちます。そして皮肉なことに、人間はじっとしているときほど、実際には起きていない空腹感や疲労を感じてしまうのです」

“脂質中毒”に陥ってしまったら、意志の力だけで抜け出すことは難しい。しかし益崎教授らの研究グループは、玄米の米ぬかに含まれている「γ‐オリザノール」という成分が脳に作用し、脂肪に対する中毒症状を抑えることを発見した。玄米は白米に比べビタミンB1や食物繊維も豊富だ。ドーパミン信号を受け取る受容体を増やす効果もあるため、脳が満腹や幸せを感じやすくなる効果もあるという。

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