前澤友作(まえざわ・ゆうさく、44)/1998年に創業した通販サイトZOZOを時価総額1兆円企業に成長させ、2019年9月に去る。小さな一歩取締役CRO(撮影/写真部・張溢文)
前澤友作(まえざわ・ゆうさく、44)/1998年に創業した通販サイトZOZOを時価総額1兆円企業に成長させ、2019年9月に去る。小さな一歩取締役CRO(撮影/写真部・張溢文)
(写真右)伊澤文平(いざわ・ぶんぺい、32):司法試験合格後、弁護士事務所勤務、トップコート国際法律事務所代表弁護士などを経て小さな一歩代表取締役CEO前澤さんから伊澤さんにメールで連絡をとったのが最初。「会うまでは信じられなかった」と伊澤さん(撮影/写真部・張溢文)
(写真右)伊澤文平(いざわ・ぶんぺい、32):司法試験合格後、弁護士事務所勤務、トップコート国際法律事務所代表弁護士などを経て小さな一歩代表取締役CEO
前澤さんから伊澤さんにメールで連絡をとったのが最初。「会うまでは信じられなかった」と伊澤さん(撮影/写真部・張溢文)
養育費をめぐる現状(AERA 2020年7月20日号より)
養育費をめぐる現状(AERA 2020年7月20日号より)

 ツイッターのフォロワーに現金を配る企画で「お金配りおじさん」としても話題のZOZO創業者、前澤友作さんが今度は養育費ビジネスに乗り出す。「ひとり親」に注目したサービスで、発想のきっかけは「お金配り」で目にしたあるツイートだったという。AERA 2020年7月20日号に掲載されたインタビュー記事を紹介する。

【写真】新会社の社長に抜擢された伊澤文平さん

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<ZOZO創業者の前澤友作さん(44)が「前澤ひとり親応援基金」の設立を発表し、最大1万人に10万円を配布したことは記憶に新しい。6月1日には弁護士の伊澤文平さん(32)を社長に、新会社「小さな一歩」を設立。ひとり親が元パートナーから受け取れていない養育費の支払いを保証する「養育費あんしん受取りサービス」を始めている。この事業について今回、初めてメディアのインタビューに応じた。>

──ひとり親に注目したきっかけはなんでしょうか。

前澤:日本社会の課題を解決する事業がしたかった。2019年1月から「お金配り」を始めましたが、応募のツイッターのなかに「ひとり親でお金がなく、子どもを歯医者に通わせられない」といった声があったんです。貧困のリアリティーを感じ、何とかしなければと思うようになりました。

 厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」によると、母子世帯のうち養育費を受け取っているのは全体の24.3%、受け取ったことがない世帯は56%と半数超。母子世帯になって2~4年未満の世帯に限ると、養育費を受け取っているのはわずか19.9%だ。

──前澤さんと伊澤さんの出会いについて教えてください。

前澤:昨年末、僕が彼のホームページに書かれていた養育費に関する文章を読んだんです。それで、問い合わせフォームから「はじめまして。一緒にやらないか」とメールを送りました。最初、伊澤君はそのメールを偽物だと思ったみたいですよ(笑)。

──会ったばかりの若者に、事業を任せる不安はありませんでしたか。

前澤:このビジネスに着眼したのは彼ですから、まずそれが第一の価値ですね。僕は彼のやりたいことを助けてあげられる。資金面でもそうですし、経験という意味でも。ただいろいろ、口答えは多い(笑)。言い争いにはなりますが、自分の意思をもってやってくれなければ、こちらも面白くありませんから。

伊澤:さっきも怒られましたよ。細かいことを言われるのはイヤですけどね。前澤には見えているものが僕には見えていない。ブラウン管と8Kくらいの差がある。そこで食い違いが出ます。

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