北海道大学大学院地震火山研究観測センターの高橋浩晃教授(地震学)はこう説明する。

「元々北海道の太平洋沖は、地震活動が高い場所。決していま地震活動が活発化しているというわけではありません」

 だが一方で、北海道東沖の千島海溝で「超巨大地震」が起きる危険性は指摘されている。17年12月、政府の地震調査委員会は千島海溝で超巨大地震が30年以内に起こる確率は最大40%とし「切迫している可能性が高い」との見解を示したのだ。

「18年9月の北海道胆振地方中東部を震源とした胆振東部地震はマグニチュード6.7でした。それと比較し千島海溝で切迫している地震は1千倍のエネルギーを持ち、マグニチュード9近く。東日本大震災と同じ規模になります」(高橋教授)

 巨大地震が発生すると、東日本大震災の時と同じように20メートルを超える津波が北海道の太平洋側の地域を襲うとされる。高橋教授は言う。

「地震はいつ起きるかわかりません。住民は防災意識を持ち、避難訓練や非常用持ち出しの備えをしておくことが大切。行政は長期的ビジョンに立ち、ハザードマップの見直しや防潮堤・避難路の建設など防災対策を講じ、子や孫の代まで伝えられるシステムを築いていってほしい」

(編集部・野村昌二)

AERA 2020年7月13日号より抜粋

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野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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