「触れる地球」は、後継機の「SPHERE」がリリースされている。タブレット版も新たにできた。7月には東京・丸の内のMCフォレストにショールームもオープン(写真/竹村眞一教授・SPHERE提供)
「触れる地球」は、後継機の「SPHERE」がリリースされている。タブレット版も新たにできた。7月には東京・丸の内のMCフォレストにショールームもオープン(写真/竹村眞一教授・SPHERE提供)

 今年、海水浴に行くことを考えている人は要注意。春からの自粛生活による体力の低下と、例年とは違い監視員やライフセーバーがいない状況が考えられるためだ。AERA 2020年7月6日号に掲載された記事で、現代人と海との関わり方の変化について紹介する。

【グラフ】救助の原因をしらべたところ、人的要因の6割は…

*  *  *

 現代人にとって、海に行くのはちょっとハードルが高くなっているのだろうか。だが、日本ライフセービング協会で溺水防止救助救命本部長を務める石川仁憲さんは、海では、水難事故に限らず、リスク管理の考え方を学べるのが魅力だと語る。

「海は最高の学びのフィールドです。自然をしっかりと観察し、遭遇しうるあらゆる危険に対し、それは自分にとってリスクなのかを考え、もしそうならリスクを低減させるための行動をとる練習をする。その経験を積み重ねることで、社会のさまざまな場面で何かあったときに物事の本質をとらえて、そこから最適解を導く力が身につくのではないでしょうか」

 では普段から海に親しむにはどうすればいいのだろうか。

 たとえば、日本財団が主催する「海と日本PROJECT」ではその一環として、昨年夏には「海ロデオ」というイベントが開催され、親子で海のプロと一緒に安全かつ楽しく海で遊ぶ方法を学んだ。今年は新型コロナの影響でイベントは縮小されるが、「海の事故ゼロの未来をつくるノート」というウェブ上のコミュニティーページが開設されている。ここでは海でのそなえについて学べるうえ、海や海水浴場の安全情報、海にまつわるイベントの情報もチェックできる。

 海に親しむことは、地球全体の環境を考えることにもつながる。19年に日本財団が行った「『海と日本人』に関する意識調査」でも、「海に行きたい」と回答した人は、「浜辺で自分たちの出したゴミを持ち帰る」「生活排水に配慮している」など、環境に高い意識を持っていることがわかった。

 海や地球環境について学べる「触(さわ)れる地球」というデジタル地球儀を開発したのは、京都芸術大学の竹村眞一教授だ。

次のページ