長澤:阿部さんと共演させていただいたことで、仕事に対してもっと自分を超えて前に進みたいと思いました。もともと阿部さんのファンだから共演自体がうれしかったこともありますが、現場での阿部さんを見たことで阿部さんがいつまでもみずみずしい理由がちょっとわかった気がしたんです。私も阿部さんみたいにいつまでもみずみずしくいたいと思いました。

阿部:それはうれしいな。僕は緊急事態宣言が解除されてからこれが初めての取材なんだけど、新型コロナウイルスの影響で、予定していた舞台がなくなっちゃったんです。舞台がないと生のお客さんの笑い声や声援が聞こえない。リモートで発信しても何の反応もないと、ものすごく不安になる。俳優は観客がいないと、何でもないんだということがよくわかりました。久しぶりにリモートでしゃべった時は声がかれたり、声の出し方やトーンがわからなかったり。そういう意味でも、コロナがあって、僕は俳優なんだって気付かされましたね。

長澤:私は自分ができることに集中して楽しくやりたいと思いました。大変な時こそ笑顔でいられるのが大切だと思いますし、明るく前向きにとらえたいという気持ちがあります。エンターテインメントは、そうした思いを人に伝えられる手段。私たち俳優が届ける作品が、人々を明るくし少しでも楽しみに思っていただければうれしいですね。

(フリーランス記者・坂口さゆり)

AERA 2020年7月6日号