「学習の遅れ」への対応として、文部科学省は入試の「出題範囲の配慮」も大学側に要請している。高3で履修することの多い科目について、共通テストの出題範囲は変わらないため大学側が科目数を減らしたり、個別試験についても生徒が問題を選択できるようにしたり、発展的な学習内容からは出題しないなどの工夫を求めている。

「中堅以下の大学は対応するが、難関大は変わらないだろう。センター試験で行っていた、履修状況に応じ選べる理科の選択問題は共通テストではなくなったが、復活させてほしかった」(石原さん)

「大学ごとに出題範囲が違うようであれば、全範囲を勉強せざるをえない」(前出の高校教員)

 大学入試センターは2010年、新型インフルエンザが大流行したときに、通常は本試験の1週間後に行う追試験を2週間後にし、会場も全国2カ所から47都道府県に広げた。今回は、その経験をベースに「専門家の助言を受けながら安全対策の準備を進めている」という。石原さんは最大の心配は、秋冬に「第2波」が来ないかだと語る。

「新型インフルエンザ流行時には、受験生が優先的にワクチンを接種できる措置がとられました。今回も受験生に優先的にPCR検査を実施し、症状のない陽性の場合は別室受験をさせるなどして、感染を拡大させない方法を考えることが重要です」(編集部 石田かおる)

※AERA 2020年7月6日号より抜粋