共通テストは「第1日程の本試験」「第2日程および本試験の追試」、第2日程が病気などで受けられなかった場合の「特例追試」と3段階組まれている。写真は、今年1月の最後のセンター試験(写真/朝日新聞社)
共通テストは「第1日程の本試験」「第2日程および本試験の追試」、第2日程が病気などで受けられなかった場合の「特例追試」と3段階組まれている。写真は、今年1月の最後のセンター試験(写真/朝日新聞社)

 来年1月、初めて行われる大学入学共通テスト。新型コロナウイルスによる「学習の遅れ」を理由に第2日程での受験ができる。本試験で傾向を見てから受験が有利?という見方もあるが、どうなのか。AERA 2020年7月6日号で分析する。

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 今年度の大学入試の日程が、6月19日、ようやく正式に発表された。新型コロナウイルスによる長期休校に伴う高校の「学習の遅れ」への対応が問題となっており、「9月入学」の議論や、全国高等学校長協会から「入試の1カ月の繰り下げ」の要望も上がっていた。

 日程については、総合型選抜の出願を2週間遅らせる以外は、当初の予定と変わらない。ただし大学入学共通テストについて、本試験の2週間後に行われる追試験を「学習の遅れ」を理由に、「第2日程」として受験可能とした。従来、追試は病気などのやむをえないケースに限られていた。浪人生は対象外だが、現役生についても対象者をどう定めるかは検討中だ。

 この第2日程の方針が報じられるや、「本試験と、どちらを受験するのが有利なのか」「公平性は保たれるのか」など、さまざまな声が上がった。とりわけ共通テストは、来年1月が初年度で過去問がない。2度のプレテストが実施されたが、英語民間試験と国語・数学の記述式問題導入が見送られた後、方針変更を受けたプレテストやサンプル問題の提示もない。このため本試験で共通テストの傾向を見て、第2日程を受験するほうが有利では、との声も上がる。

 駿台教育研究所進学情報事業部の石原賢一部長は、第2日程の受験について次のように見る。

「本試験を見て対策するといっても、2週間ではたいしたことはできません。私大入試との重複もあるし、個別試験の勉強時間が圧迫されるデメリットの方が大きい。一般的に追試は本試験よりも難易度は上がります」

 関西の公立高校で進路指導を担当する教員(56)は言う。

「共通テストの本試験を受験したら、3日後に予備校の合格ラインの発表がある。それをもとに面談し、国立大学の出願先を決めます。出願締め切りは例年のパターンだと2月3日。第2日程だと受験後、3日しかない。多少延びても、落ち着いて考える時間はなさそうです。関西では近畿大や龍谷大が、第2日程の日に一般入試を予定している。入試を一つだけずらしても無理が多く、実効性に乏しい」

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最大の心配は「第2波」