「『オンライン学習を導入してください』と自治体に言っても、できない理由を言われてしまう。でも、他の自治体はこのようにやっていますよ、と具体的な材料を示すことで前進させたい。調査エリアも今後、全国に広げたいです」(森田さん)

 休校期間中、オンライン学習ができない理由として、教育委員会や学校からよく聞かれたのは「端末や家庭のネット環境が十分にない子たちに不公平になる」。しかし、子どもの教育を支援する認定NPO法人カタリバ代表理事の今村久美さんは、むしろ逆だという。

「オンラインの環境が十分に得られない、生活環境の厳しい子どもほど、第三者とつながり、サポートを受けられるルートを確保することが大切。不公平だからとやめるのではなく、こうした子どもたちを手厚くサポートしながら前に進めるべきです」

 カタリバでは今月、生活困窮家庭の子どもたちに、90台のPCとWi-Fi機器を無料で貸し出した。前出の堀田教授は「オンライン学習の流れを止めてはいけない」と力をこめる。

「コロナの第2波、第3波も予測されるなか、教員と子どもが対面できる今のうちに、オンラインの双方向のベースを作り、経験値を積むことが重要です。特別な授業をする必要はありません。宿題の提出や戻しなどをオンラインで始めればいい。学校のインフラとして不可欠です」

(編集部・石田かおる)

AERA 2020年6月29日号より抜粋