新型コロナにより表現の場が失われた学生たちのピンチは、「止めるな」がきっかけでチャンスに変わった。大阪の興國高校ラグビー部監督の伊藤矢一(32)は、投稿するための動画編集を各選手に任せた結果、選手たちがそれぞれのプレーや良い動きの定義を見つめ直せるいい機会になったという。

 さらに、この「スポ止め」に賛同するプロバスケットボールBリーグ・東京エクセレンス選手兼ゼネラルマネージャーの宮田諭(42)は、こう締める。

「このチャンスによって競技が続けられるようになる高校生は、チャンスのありがたみがわかると思う。大人になったら、スポーツに育てられた恩返しとして、それぞれの競技の普及活動などを積極的にしていくのではないでしょうか」

 自分がやりたいことをやり続ける意欲は、いずれ人のやりたいことを助ける愛情に変わるかもしれない。「スポ止め」が示すスポーツの本当の価値は、そこにある。(ラグビーライター・向風見也)

AERA 2020年6月29日号 文中敬称略