浜辺:「君の膵臓をたべたい」あたりからは責任感みたいなものも感じるようになりました。それまでは「好き」という気持ちだけでやっていたんですけど、お仕事として向き合うようになって。「全力でやりたい!」って現場でいつも思っていました。

 仕事は午後10時まで、という年齢ゆえの制約がジレンマだった。当時の気持ちをリアルタイムで綴ったフォトエッセイ『気ままに美波』に、18歳の誕生日を迎えて「これで思う存分、仕事ができる!」と書いた。

浜辺:早く大人になりたかったんです。お仕事を始めたのが早かったこともあって、「16歳や17歳はもう子どもじゃないのに」という思いが強かったんですね。現場で私だけ先に帰されるのがさみしかったし、嫌でした。

 俳優としての転換点は、ドラマと映画の「賭ケグルイ」だ。名門学園を舞台に、ギャンブルによる弱肉強食の世界を描いた作品で、生粋のギャンブル狂である主人公・蛇喰夢子(じゃばんゆめこ)をハイテンションに演じきった。

浜辺:英勉(はなぶさつとむ)監督は、それまでご一緒した監督と全然違っていて。「自由にやっていいよ。テストと本番で違ってもいいから」と、なんでも面白がってくれたんです。演技について話すときも同じ目線に立ってくれて、「本当にできるの~?」とからかわれたりして、「やってやろう!」という気持ちになったり。私の中のいろんなものを引き出してくださって、「このお仕事ってすごく楽しいんだな」って心から思えました。それまでは大勢の人の前で感情を爆発させるのはあまり得意じゃなかったけど、英監督のおかげで「自分は何でもできるんだ」と思えるようになったんです。

 20歳という節目を目前に、目標もある。

浜辺:学校を卒業してから、ずっとできていなかったことを結構できているんです。お友達も増えて、いまは難しいですけれど、いろんな人とご飯に行く機会も増えたりして。それは20歳になる前にやりたかったことだったので、いい変化だなぁって。

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