――今回のコロナウイルス感染拡大から「経済」について身近に感じたけど、これからもっと学ぶ上で知っておくべきことは?

 ふたつあるかな。ひとつは、「お金は使われることが大事」ということだね。他人がお金を使いたくなるような商品やサービスを開発すると、お金がたくさん使われるようになり、回るお金が増える。つまり、社会全体がお金持ちになっていくんだ。お金を使わない社会になると、社会全体が貧乏になっていく。みんなは「むだづかいはしないで貯金をしなさい」なんて親から言われることがあると思うけど、社会全体では使うことが大事なんだ。

 もうひとつは、「経済は突然失速する」ということだね。失速の引き金はいろいろある。戦争、テロ、バブル崩壊、石油価格、大災害、そして今回のような感染症。どの引き金も予測が難しいものばかりで、直前までいつまでも豊かさが続くという気分でいることがほとんどだ。でも、歴史を学んでいれば、自分の人生で2度か3度は大失速に出合うことがわかる。知識があれば備えることもできるし、パニックにならなくてもすむと思うよ。(朝日新聞社教育コーディネーター・一色清)

※月刊ジュニアエラ 2020年7月号より

ジュニアエラ 2020年 07 月号 [雑誌]

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一色清
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