世界中に大きな影響を及ぼしている新型コロナウイルス。今後の社会はどう変わるのだろう。小中学生向けのニュース月刊誌「ジュニアエラ」7月号では、「コロナ後」の社会について考えた。

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 長引く休校で子どもたちは自宅学習、親も家で仕事─。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、そんな暮らしが続いた。急に不自由を強いられて戸惑った子どもたちも多かっただろう。

 でも、「コロナ後」はこれが普通になるかもしれない。この生活が不自由じゃないように変えていかなければならないのは、「社会」のほうなんだ。

 まずは教育。いままでは学校に集まって一斉に同じ授業を聞くというのが一般的だった。でもこれからは、パンデミックが起きても学びを止めないように、オンライン化がもっと進むだろう。

 パソコンやタブレット端末などを使って学ぶICT(情報通信技術)教育の重要性はもともとわかっていた。文部科学省は昨年末、小中学生に1人1台のパソコンやデジタル端末を整備する「GIGAスクール構想」を打ち出した。だが、同省の4月16日時点の調査では、休校中や休校予定の自治体のうち、双方向型のオンライン指導をするのはまだ5%にすぎない。

 オンラインでの学びは主体的に学ぶことにもつながる。ネットの中のいろいろな情報や学習サービスを自分で選んで、自分で探究する。こんな姿勢は今後ますます重要になる。もちろん、教室で友達と一緒に学ぶことも大事だから、両方のいいところを交えた教育が進むのではないだろうか。

 働き方も変わる。新型コロナの影響で、在宅で仕事をするテレワークが進んだ。日本ではもともと長時間労働が問題になっており、働き方改革が必要だった。育児や介護などさまざまな事情を抱えていても多様な働き方ができるような改革を、今後も続けていかなければならない。

 ほかにもオンライン診療、オンライン飲み会、オンラインコンサートなど、さまざまなオンライン化がさらに進むに違いない。その結果、東京や大阪など、大都市に密集して住んでいるこの暮らし方自体も、今後見直されるかもしれない。

 新型コロナウイルスは、社会システムや現代人の生き方自体を根本的に考え直す課題を突きつけた。

【テレワーク】
ICTを活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方。自宅で働く在宅勤務が代表的。英語の「離れた」を意味する「tele」と、「仕事」を意味する「work」を合わせた造語。新型コロナの影響で導入が進んだが、仕事とプライベートとの切り替えが難しく、むしろ長時間労働が進むなどの課題も指摘されている。

※月刊ジュニアエラ 2020年7月号より

ジュニアエラ 2020年 07 月号 [雑誌]

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AERA編集部
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