金融商品のなかで、国債は安全性が高いといわれている。だが、マイナス金利のなかで国債を保有すると、逆に金利を支払うことになる。対する金は、金利を生まない。国債を買って金利を支払うくらいなら金ETFを買うという消去法で選ばれている側面もあるという。金価格上昇はいつまで続くのか。

「11月3日の米国大統領選までは続くでしょう。今後の高値は1トロイオンス当たりの国際金価格1800ドル(国内金価格換算で1グラム当たり6300円)、下値は1500ドル(同5200円)と見ています。金価格上昇の元を正せば“何をするかわからない”トランプ大統領の存在がある。バイデン氏が当選したら“少しは穏やかに”ということで下がるでしょうし、トランプ氏再選となっても“材料出尽くし”でいったん売られるでしょう」(豊島さん)

 国内金価格は国際金価格と1ドル=何円の為替レートで決まる。両者の相場推移は連動しており、円高なら金価格は下がる傾向にある。今後の為替の動きについて、マネックス証券チーフ・FXコンサルタントの吉田恒さんは言う。

「3月上旬にコロナ・ショックで大きく円高に傾いた後は1ドル=106~108円の小幅な値動きに終始していました。再び感染拡大が起きれば、円高に傾く可能性もあります」

(ジャーナリスト・向井翔太、編集部・中島晶子)

AERA 2020年6月22日号

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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