そして、コロナ禍でもひと際がんばっている。

「コロナの影響で一つの教室に今までと同じ生徒数を入れられず、少人数で時間を区切っている。結果、長時間に及ぶようになりましたが、ユニボ先生はどんどんこなしてくれます。頼もしい存在です」(鈴木さん)

 新型コロナウイルスは、人と人との接触に「壁」をつくった。緊急事態宣言の解除後も新しい生活様式に取り組む中、それまで当たり前だったコミュニケーションが取りにくくなった。

 そんなコロナ禍で期待されているのがロボットだ。ユニボ先生しかり、以前から使われていたロボットがコロナをきっかけに様々なフィールドで活躍しはじめた。

 見た目は四角い配膳台。だが、下部にはパッチリとした目。ピロロロンと音が鳴り、こう言う。

「お料理をお持ちしました」

 創業47年の焼き肉店「京城苑」では、昨年4月から配膳ロボットを導入。愛称は、店名から「京(けい)ちゃん」。客から大人気で、京ちゃんを呼ぶ卓上ボタンを客が押しまくるため、ボタンを撤去せざるを得なかったほどだ。

「お客さまから『料理が来るのが遅くても、ロボットだとイライラしない』『心が和む』などと言われたのが意外でした」(京城苑の店長、菰岡(こもおか)翼さん)

 深刻な人材不足に頭を悩ませていた菰岡さんは以前からロボットに目を付けていたものの、高額で手が出なかった。最近になって100万円のものが登場し、躊躇する社長を説得した。スタッフの間では「頼れる同僚」という認識で、「基本、配膳は京ちゃん」というスタイルができ上がっている。

「コロナの影響で人同士の接触を極力避けなければならなくなりましたが、京ちゃんはその寂しさを埋めてくれている。お店の価値は人が生み出すと考えていましたが、ロボットがお客さんの体験価値になると気づいたんです。ここでしか得られないこととして、お客さんが来てくれる」(菰岡さん)

(ライター・羽根田真智)

AERA 2020年6月22日号より抜粋