これまでは「雇用の流動化」や、ましてや「従業員をシェアする」という発想を持ち、受け入れる人は少なかったと思います。しかしコロナ禍を通じ、さまざまなアイデアやテクノロジーを柔軟に採り入れることで企業も社員もより幸せになれることを学びました。

 フリーランスの働き方が加速していくのが理想ですが、企業に所属する社員や転職のあり方もアップデートしなければなりません。今の日本の労務、年金、税務制度で「社員」の有利性は否めません。ならば、社員としての権利を維持しながら時代に合わせた多様な働き方を選択できる方向に進むべきです。

「転職」という重たい選択ではない方法で人材の流動化を図ることも可能です。「3分の1社員」とか、「複数の会社で社員しています」みたいなことが現実的になっていけばいい。働き方のバリエーションを広げる役割をこれからも担いたいです。

(構成/編集部・渡辺豪)

AERA 2020年6月22日号

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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