山野智久(やまの・ともひさ)/1983年、千葉県生まれ。明治大学法学部法律学科卒。リクルートを経て、2011年に独立しアソビューを設立。観光庁アドバイザリー・ボードメンバー(写真:本人提供)
山野智久(やまの・ともひさ)/1983年、千葉県生まれ。明治大学法学部法律学科卒。リクルートを経て、2011年に独立しアソビューを設立。観光庁アドバイザリー・ボードメンバー(写真:本人提供)

 新型コロナで影響を受けた企業の従業員が、需要が拡大する企業で働く。そんな雇用をシェアするという仕方に注目が集まっている。「雇用シェア」を発表し、各企業に呼びかけた「アソビュー」社長の山野智久さんが、AERA 2020年6月22日号で着想の背景などを語った。

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「雇用シェア」を着想した背景には二つの確信がありました。一つは、観光産業は社会・経済変動の影響を受けやすい半面、必ず回復するという確信です。近年だと、2002~03年に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)、08~09年にかけてのリーマン・ショック、11年の東日本大震災で観光需要は大きく落ち込みましたが、いずれもインバウンドは約8カ月で回復しました。この間をどうやってしのぐかという課題を克服できれば、今回に限らず観光産業の耐性強化に寄与できると考えました。もう一つは、マッチングがうまくいけば所属先や業態を問わず、誰もが活躍できるという確信があります。

 当面の目標は1千人の雇用維持です。5月14日に立ち上げた一般社団法人「災害時緊急支援プラットフォーム」で実務を担います。当社やクラウドワークス、マネーフォワード、ラクスル、READYFORといった企業の代表や社団法人の代表らが発起人となり、災害時の緊急課題に人的なネットワークで対応していく非営利組織です。

 ベースになったのは、19年9月の台風15号で被害を受けた千葉県でのボランティア活動でした。災害時に公的サポートが整うまでには時間がかかってしまいます。災害ボランティアも会社の雇用維持も、困難に直面している地域や業種をいかに迅速に支えられるかが勝負です。緊急性の高い分野ほど民間の柔軟な発想と連携、スピードが不可欠です。

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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