同社の冷凍ラーメンは、コロナ禍以降、「売り上げが約1.5倍に伸びている」(キンレイ・商品企画チーム)とのこと。巣ごもり消費に加え、ラーメンの禁断症状需要も、売り上げに弾みをつけていそうだ。

 爆発する冷凍ラーメン人気を一時的なブームに終わらせず、新しい生活様式のなかで定着させようと考えるのは、新宿ゴールデン街からスタートし、今や国内外に55店舗を展開するというすごい煮干ラーメン凪を運営する凪スピリッツだ。社長・生田悟志さん(42)が言う。

「ラーメン文化の火が消えてしまわないかと心配になっていたとき、知り合いのラーメン店が、ネット通販を始めるのに不安を持っていたり、人手不足を嘆いているのを目にした。そうした困っているラーメン店のために、各店が冷凍したラーメンを先払いで買い取り、私たちの自社工場でストックして販売していくことを決めました」

 名付けて「ラーメンストック」。行列店である「すごい煮干ラーメン凪」のほか、普通のラーメンの「最高峰」と呼ばれるラーメン大至(だいし・東京都文京区)など、セットを含め100点近い商品がラインアップしている。

「緊急事態宣言中、うちでも売り上げが9割減になった店舗もありました。『新しい生活様式』の時代では、これまで100杯売れていたラーメンが70杯くらいになると思う。その30杯の減った分を、ラーメンストックの売り上げで埋められるといいですね」(生田さん)

 同社では、発売元のラーメン店を取材したライブ動画などを見ながら冷凍ラーメンを購入できる、「ライブコマース」を導入し、楽しみながら購入できる仕掛けも始まった。

 ラーメンは日本人にとって、食べ物である以上に文化。冷凍ラーメンは、その火を未来につなぐ重要な任務を担っている。(ライター・福光恵)

AERA 2020年6月15日号より抜粋