その代わりといってはなんですが、皆さんよくご存じの通り、魚の視野は非常に広く、前後に320度程度もあります。前を向いていても、本当の真後ろ以外は見えているんですね。

 さらに魚の目は上下方向も非常に広く見えているようですので、海面に映る釣り人の姿も海中からちゃんと見えているんだと思います。

 そしてそれが何かまでは判別できなくても、危険を感じて瞬時に身をかわしたり警戒したりすることで身を守っているんだと思います。

 昔から「見えている魚は釣れない」と言われていたのは、こういうことだったんですね。

 また、魚の目の大きさは視力には関係がないようです。実際、大きなクリッとした愛らしい目が人気のメバルの視力も0・1程度です。

 ただ目が大きいとより多くの光を取り込むことができるので、夜行性の魚や深海に住む魚は目の大きなものが多くなっています。

 例えば水深200メートルから600メートルとかなり深いところに生息している金目鯛の目もとても大きく、さらにその名前の通り、金色に輝く目をしています。

 実はこの金色の正体は、目の中にあるタペタム器官というもので、目に入ってきた光を反射させることで増幅してより明るくする役割をしています。その働きによって、ほぼ真っ暗な深海でもわずかな光を頼りに餌となるエビや小魚を見つけて捕食することができるんです。

 など夜行性の動物の目にも同じタペタム器官があります。夜暗いところで猫の目が光っているのは、タペタム器官にわずかな光が反射しているためなんです。

 魚たちの目は、視力以外の部分でそれぞれが生存するのに適したものになっているんですね。

 先程出てきた、金色に輝く目を持つ金目鯛ですが、大型のものになると1キロあたり1万円以上もする高級魚です。

 今週末からくら寿司では、金目鯛の炙りや軍艦などを食べられるフェアを開催しています。週末は脂の乗った金目鯛を存分に味わってみてはいかがでしょうか。

○岡本浩之(おかもと・ひろゆき)
1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2019年11月から、執行役員 広報宣伝IR本部 本部長

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岡本浩之

岡本浩之

おかもと・ひろゆき/1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長。

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