日本労働弁護団は5月15日に「厚労省は、労働者から事業主への申し出がなくとも、事業主側から積極的に妊娠した労働者に対して措置を講じるよう、要請を出すべき」と幹事長声明を発表。休業中の賃金の補償などを行う企業への助成も求めた。

 その後、厚労省は事業主に助成金を支給する制度を創設する方針を決めた。1人当たり最大100万円を払うという。

 日本労働弁護団の新村響子弁護士は言う。

「日本では妊婦のための権利や制度はありますが、マタハラにあふれた社会では雰囲気的に使えず、使おうとしても利用を阻害するような言動を医師や会社から受けてしまう。妊婦を助けるためには権利や通達だけでは足りない。国はもっと事業主に義務づけさせるなど強く打ち出さなければ本当の補償にはなりません」

(編集部・深澤友紀)

AERA 2020年6月15日号より抜粋