おなかの赤ちゃんを危険にさらす罪悪感も…医療現場で働く妊婦の過酷な現実 (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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おなかの赤ちゃんを危険にさらす罪悪感も…医療現場で働く妊婦の過酷な現実

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深澤友紀AERA#新型コロナウイルス
※写真はイメージ(gettyimages)

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AERA 2020年6月15日号より

AERA 2020年6月15日号より

ほとんどの母子手帳の中にある「母性健康管理指導事項連絡カード」。医師に必要な指導を書いてもらい、事業主に伝える役割がある (c)朝日新聞社

ほとんどの母子手帳の中にある「母性健康管理指導事項連絡カード」。医師に必要な指導を書いてもらい、事業主に伝える役割がある (c)朝日新聞社

 コロナ禍で特に不安を抱いている働く妊婦たち。休職や在宅勤務を希望していても、様々な事情からそれがかなわないことも多いようだ。新型コロナウイルスの感染への不安が妊婦やその胎児に影響を与える恐れがある場合、医師が母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)に「指導」を記し、その内容を事業主に守らせる仕組みがあるが、それすら活用できない人もいる。AERA 2020年6月15日号では、不安を抱えながら働く妊婦たちを取材した。

【不安を抱える妊婦たちの声はこちら】

*  *  *
 現在妊娠中で、東京都内の病院の救急科で働く、高橋美由紀の名前で活動する20代の女性医師は言う。

「厚労省の指針は、妊婦が働くか休むか自分で考えて、休みたい、配置転換してほしいと思ったときに、自分から産婦人科医にお願いして、指導を母健連絡カードに書いてもらって、そのカードを勤務先に提出し措置を申し出なければなりません。特に医療現場は人手が足りなくて、自分から休ませてほしいと言い出せず、出勤し続けている医療従事者は今もたくさんいます」

 高橋さん自身は、救急搬送されてきた患者がコロナ陽性である可能性もあるのに、マスクや防護服が不足する中で働き続けることに危機感を覚え、おなかの赤ちゃんの命を危険にさらすような行為に罪悪感もあったが、休むことで同僚に負担がかかることを懸念して自分から配慮を言い出せずにいた。そんな中、同僚の医師が働きかけてくれて陽性患者には接しないようにしてもらえるようになった。

「その人の人生やキャリアにかかわる重要な決定が、個人の判断やたまたま置かれた環境によって大きく変わってしまうのは非常に危険」

 と感じた。高橋さんは4月、オンライン署名サイトで、妊娠中の医療従事者を感染リスクの高い仕事に従事させることを禁止することや、休業となった場合の経済的な補償を求める呼びかけを始め、現在までに4万1千人以上の署名が集まっている。署名の際のコメントや、高橋さん宛てに届いたメールには、当事者たちの切実な思いが寄せられているという。


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