「それもありなんだ」と思ってもらえたら パラトライアスリート・秦由加子が短パンで休日を過ごす理由 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

「それもありなんだ」と思ってもらえたら パラトライアスリート・秦由加子が短パンで休日を過ごす理由

このエントリーをはてなブックマークに追加
深澤友紀AERA
パラトライアスリート 秦由加子(写真:本人提供)

パラトライアスリート 秦由加子(写真:本人提供)

 東京パラリンピックへの出場が決定しているアスリート、秦由加子さんは、現在パラトライアスロンPTS2クラスで世界ランク4位。13歳で足を切断、義足を履きはじめてから、長い間義足を隠して生きてきた。AERA 2020年6月15日号から。

【写真】秦由加子さんが表紙を飾ったAERAはこちら

*  *  *
 パラトライアスロンはスイム750メートル、バイク(自転車)20キロ、ラン5キロを行う競技だ。それを、日本のエース、秦由加子は義足や片足一本で駆け抜ける。

 13歳で足を切断してから、長い間義足を隠して生きてきた。学生時代は制服のスカートの下にズボンをはいたこともあったし、足を見られたくないと体育の授業はすべて見学した。24歳でジムに入会したときは、プールサイドに一番近い出入り口を使いすぐ水の中へ。脱いだ義足はバスタオルをかけて隠した。他人の視線が怖く、「コンプレックスの塊だった」。

 それが変化したのは、トライアスロンと出合ってからだ。2012年12月に初めて競技用義足を着けて走ってみると、ふわっと体が宙に浮く感覚が18年ぶりによみがえった。それまではただ歩ければいいと思っていたが、義足をもっと自分の体の一部にしたいと思った。いつしか足に似せた肌色のカバーもつけなくなり、休日には短パンで外出するようになった。

「私を見て、『それもありなんだ』と思ってもらえたら。義足でもいろんな選択肢があって、やりたいことができると、伝えていきたいなと思っています」

 職場の理解を得て、昨年から競技中心の生活に変えた。それまでレース出発日の前日夜まで働いていたが、今はレース日から逆算して調整できるようになった。練習量も増やすことができ、バイクでは左足一本で20キロをこげるようになり、義足の着脱時間が減った。ランもこの4年間で約4分間タイムが縮まった。

 パラリンピック初出場の4年前は6位。東京大会ではどのように戦うのか。

「自信のあるスイムを1位で上がって、そのままフィニッシュまで前を走り続けたい。心を込めて支えてくれた人たちと喜びを分かち合うのが、私の夢です」

(編集部・深澤友紀)

AERA 2020年6月15日号


トップにもどる AERA記事一覧

続きを読む

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい