だが、モヤモヤするのは面接後、だ。女子学生が続ける。

「面接して1カ月ほどしてから選考通過の連絡がきたり、次の面接日程の調整に時間がかかる企業も多かった。受かったのかどうかがわからず不安でした」

■コロナで試される企業

 関西圏で就活中の女子学生(24)は、ある地方銀行のコロナ対応に衝撃を受けた。

 緊急事態宣言が発令されて以降、県はもちろん大学からも不要不急の外出を控えるよう要請があった。そんな中、銀行から届いたのは、テストセンターで試験を受けるようにという案内だった。女子学生が言う。

「コロナが流行(はや)っている中で外出させようとする企業は、どうせ入ってもしんどくなると親に言われ、辞退しました。人材確保で必死なのはわかりますが、すぐにオンライン対応できない企業はちょっと遅れているなと感じています」

 従来は仕事内容や福利厚生などが企業選びの指標になっていた。それが、今年に限ってはコロナへの迅速な対応という、学生にとっても現実味のある問題が企業に突き付けられている。

 パナソニックやトヨタのように採用活動をすべてオンライン化すると決める企業もある一方で、「一度は顔を見たい」と最終選考を先延ばしにする企業もある。コロナの影響を不安視する学生を相手に、こうした駆け引きが吉と出るか凶と出るか。(編集部・福井しほ)

AERA 2020年6月8日号より抜粋

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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