小芝:初めてのことばかりで、いままで本当にあっという間でした。「魔女の宅急便」は、清水崇監督が試練も与えて下さる方で、「オレが客だったら今のシーン寝るわ」って。もっと表現力を身につけたい、と最初に強く思った作品でした。朝ドラは、人が成長する過程を演じるのが初めてで、勉強になりました。

 コメディー作品は、奥が深いんですよね。「美食探偵 明智五郎」でご一緒している中村倫也さんや北村有起哉さんたちは、アイデアがどんどんあふれてくるみたいで、テストでも本番でも毎回違うことをするんです。でも、私にはまだそれだけの技術はないので、そういう人たちの面白い動きや一言には、全力で反応しようと心がけています。

 さまざまな役に挑戦できるいまが、とにかく楽しいという。

小芝:監督や共演者の方と話すのがすごく好きです。自分で台本を読んでいるだけだと、ひとりの設計図ができるだけですけど、一度合わせてみると自分では予想しない打ち返しがある。「そういうふうに演じるんだ。じゃあ、こういう感情になるなあ」って。そんな化学反応を、少しずつ楽しめるようになってきました。

 私、このシーンではここを大事にしたいとか、この役はここを見てほしいとか、作品のスパイスになりたいから、やりたいことがたくさんあるんです。

 自分の演技を見返すと、毎回反省します。細かいところが気になって。先輩方に相談したら、「完璧にできたと思ったら、それ以上の成長はない」って。だから、反省が見つかるのはすごく大切なことだと思っています。このお仕事には正解がないし、だからこそ面白い。きっとこの先も反省は尽きないです(笑)。

(編集部・藤井直樹)

AERA 2020年6月8日号