(5)走りながら打つ「スラップ打法」


 投手だけでなく打者の技術も進化している。その一つが、打席で駆け出しながらボールを打つ「スラップ打法」だ。ソフトボールは野球と同様、ボールが地面に転がったとき、守備側がボールを1塁に投げるより早く打者が1塁に到達すれば、走者として残れる。そこで、少しでも早く1塁に到達できるよう、走りながら打つ技術が発達したのだ。

(6)1塁ベースが二つ分ある理由は?
 1塁にボールと打者のどちらが早く到達するかは、勝負を左右する大切なプレーだ。ソフトボールは野球より塁と塁の間の距離が短いので、際どいプレーになることが多く、ボールを受ける1塁手と打者がぶつかる危険性が高い。そこで、1塁ベースはほかの塁のベースの2倍のサイズで、白色とオレンジ色に塗り分けられ、違う色を踏むことで接触を避けている。

●日本は北京五輪で金メタル!

 ソフトボールは五輪では女子のみの競技として1996年から始まり、日本は2008年の北京大会(中国)で宿敵アメリカを破って初の金メダルを獲得した。以後、実施競技から外れたが、東京大会で「野球・ソフトボール」として3大会ぶりに復活。前回の金メダルに貢献した上野由岐子選手と山田恵里選手も健在で、13年越しの連覇を目指す。

【東京五輪で輝け! 上野由岐子 選手】
1982年、福岡県生まれ。ポジションは投手。小3からソフトボールを始める。世界最高レベルの球速と多彩な変化球を誇り、日本リーグでは一人の走者も出さない完全試合を8回達成。日本代表のエースで、五輪では2004年アテネ大会銅メダル。08年北京大会では、決勝のアメリカ戦まで3試合(2日間)で413球を投げ抜き、金メダルに導いた。

【東京五輪で輝け! 山田恵里 選手】
1984年、神奈川県生まれ。ポジションは外野手。中学まで野球に打ち込み、高校からソフトボールに転向。センス抜群の打撃で日本リーグの打撃記録を次々と塗り替え、「女イチロー」の異名を持つ。日本代表でも長く中心選手として活躍し、五輪では2004年アテネ大会銅メダル。08年北京大会では決勝のアメリカ戦でホームランを放ち、金メダル獲得に貢献した。

※月刊ジュニアエラ 2020年6月号より

ジュニアエラ 2020年 06 月号 [雑誌]

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AERA編集部
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