「やっとスタートラインに立つことができました」
山本さんは13歳の時から7年間、実父から性被害を受けてきた。刑法改正成立直後の17年7月にSpringを設立すると、性暴力の実態を踏まえた議論をするため検討会に被害当事者を入れることや、性暴力被害者の実態に即した刑法改正をすることなどを、ほかの市民団体らと一緒に国に求めてきた。
検討会の議論は半年以上かかると見られ、法改正が必要ならば法相が法制審議会に諮問して手続きに入る。
山本さんが言う。
「性的に安全な社会をつくるためにはどうすればいいのか。それは、法律家だけに任せておけばいい話ではありません。私たちが目指すのは、同意のない性行為すべてを犯罪とする不同意性交等罪の創設。今後、検討会では課題や反対意見なども出てきて、実現まで何年かかるかわかりません。けれど、私たち一人一人が考えていくことで、きっと実現すると信じています」
被害者の尊厳を守り、加害者を適切に処罰する。社会が背負う重要な課題だ。(編集部・野村昌二)
※AERA 2020年6月1日号より抜粋