桜林直子(さくらばやし・なおこ)/1978年生まれ、東京都出身。洋菓子店で製造以外のすべての業務を経験。2011年に独立し、クッキー店を開店。noteへの投稿が注目される。店舗や企業のアドバイザーも務めている(撮影/写真部・掛祥葉子)
桜林直子(さくらばやし・なおこ)/1978年生まれ、東京都出身。洋菓子店で製造以外のすべての業務を経験。2011年に独立し、クッキー店を開店。noteへの投稿が注目される。店舗や企業のアドバイザーも務めている(撮影/写真部・掛祥葉子)

 AERAで連載中の「この人この本」では、いま読んでおくべき一冊を取り上げ、そこに込めた思いや舞台裏を著者にインタビュー。「書店員さんオススメの一冊」では、売り場を預かる各書店の担当者がイチオシの作品を挙げています。

【写真】クッキーが名刺になった!

 桜林直子さんの著書『世界は夢組と叶え組でできている』は、やりたいことがある人を「夢組」、ない人を「叶え組」と名付け、チームを組むと互いの力になれるという話に始まる。自分を知るためのヒントなど、経験に裏付けられた「考え方集」だ。著者である桜林さんに、同著に込めた思いを聞いた。

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 やりたいことがある人と、やりたいことがない人がいるのはなぜなのか? ない人はどうすればいいのか? その答えを探して、桜林直子さんは初めての本を書いた。

「私が知りたかったんです。やりたいことがない人は人類の半分以上いると思う。その一人である私が今までの経験を書くことで、読者が自分のことを考える材料にしてくれたらいいなと思いました」

 一人で考えていると悩みがちだから、「過去を捉え直す」、「未来を見る」のように、小さなテーマを設定して、一緒に考えていける構成にした。

 桜林さんは2000年に製菓専門学校を卒業して、創業したばかりの洋菓子店に就職した。23歳のとき出産し、復帰すると、人事、販促など裏方の仕事を一手に引き受けた。会社は急成長し、入社12年目の11年に独立。シングルマザーになっていたので、半分の時間で2倍稼ごうと「SAC about cookies」というクッキー店を開業した。ちなみに現在は高校生になった娘のあーちんは、本誌連載「午後3時のしいたけ.相談室」のイラストを描いている。

 洋菓子業界の事情に明るく、支店を出したり畳んだりした経験もある桜林さんにとって、クッキー店の経営はたやすく、すぐに軌道に乗った。

「自分がわかっていることを淡々とやるだけだから、面白さはあまりなかったんです。業界外の人と会うようになって、いろんな仕事があることを知り、これからどうしようかな、と思っていました」

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