小島慶子「コロナ危機で浮かび上がる『家族のリスク』 孤独な人に手を差し伸べて」 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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小島慶子「コロナ危機で浮かび上がる『家族のリスク』 孤独な人に手を差し伸べて」

連載「幸複のススメ!」

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小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。『仕事と子育てが大変すぎてリアルに泣いているママたちへ!』(日経BP社)が発売中

小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。『仕事と子育てが大変すぎてリアルに泣いているママたちへ!』(日経BP社)が発売中

家で過ごす時間が増え、上がるリスクもある。5月1日、DVや性暴力の被害者を支援する山口県のNPO法人の事務所で話し合うスタッフたち (c)朝日新聞社

家で過ごす時間が増え、上がるリスクもある。5月1日、DVや性暴力の被害者を支援する山口県のNPO法人の事務所で話し合うスタッフたち (c)朝日新聞社

 タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。

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*  *  *
「家にいることがリスクになる人もいる」

 困窮家庭の支援をしている人たちは皆そう言います。休校措置や外出制限、失業などで家族が一緒に過ごさなくてはならなくなり、虐待で居場所をなくして街に出る子どもや、DVを相談できずにいる人が、いま同じ空の下にたくさんいるのです。

 非常時には、貧困や機能不全家族などですでに追い詰められていた人たちが、命に関わる状況に陥ります。支援者たちは、人との接触が制限される難しい条件下で、知恵と労力を絞って活動しています。食料配布、居場所の提供、相談窓口の設置など心の支援も。三密条件で通常の活動ができない分、配送費やオンライン設備などに費用がかかります。無理のない範囲で寄付をして、支援団体の活動を支えることも、いまできる人助けです。

 読者の中にも、いつも以上に家族で苦しい思いをしている人がいるのでは。疎遠になっていた親族と連絡を取らざるを得なくなり、古傷が開いた人。難しい相手と適度な距離を保てなくなって、関係が悪化した人。人が変わったようになってしまった家族に戸惑っている人。人は不安になると攻撃的になります。これまで問題なかった関係が、急に心身をむしばむような重荷になることもあるでしょう。

 私もこの危機で、人間のさまざまな面を見ました。幼い頃から一縷(いちる)の希望を捨てられずにいたけれど、やはり諦めなくてはならない関係もあるのだと思います。一方で、互いを思う気持ちが深まった間柄も。自身も不安だろうに、決して思いやりを忘れない人もいるのです。

 人間関係は選べるようで選べない。その寂しさを知った人は、いま孤独な人を放っておけないのではないかと思います。誰も置き去りにしない社会に。寄付でも声かけでもいい。小さなことでも、できることはあります。

AERA 2020年6月2日号


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小島慶子

小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。共著『足をどかしてくれませんか。』が発売中

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