小学校では、子どもの特性に合わせて次のような特別支援制度があります。

【通級指導学級/特別支援教室】
 通常学級にメインで籍を置きながら、週に数時間、必要な個別指導を受ける。軽度の発達障害、またはその傾向がある子向け。従来は近隣の拠点校に通う通級指導学級だったが、2016年度以降、東京都では各公立小学校に教室を設ける特別支援教室の導入が進む。年度途中に利用を希望する場合は、担任を通じて学校に相談し、行政の就学支援委員会での審査を受けて利用の可否が決定される。

【特別支援学級】
 軽度~中度の発達障害があり、通常学級での学習が難しい児童が、少人数できめ細かな教育や指導を受ける。個々の理解度に合った学習指導、情緒教育、運動、コミュニケーションスキルなどを学べる。給食や休み時間、一部の授業は、通常学級で受けることもある。

【特別支援学校】
 心身の障害や知的障害等により生活や学習の困難が多い児童・生徒のための学校。幼稚部から高等部まであり、身体・知的障害者の手帳を持つ子が、将来の自立に向けて、一人一人に合わせたプログラムの教育を受ける。1クラスあたり3 ~ 5人程度の少人数制で特別支援学校教諭等免許も取得した教員が指導する。

 ただ、特別支援学級や通級指導学級を勧められても、どうしても親が納得できないケースもあるかもしれません。

「そんなときは、学校の身近な先生に相談をしてみてください。入級・入室相談は第一に保護者や本人の希望を踏まえて皆が納得できる支援方法を探るプロセスであり、一方的な通告ではありません。実際に特別支援学級や通級指導学級等の見学をして、先生と話してみてもいいと思いますよ」

 通級指導学級を利用した場合、親はいじめや学力の伸びを心配するかもしれません。

「保護者だけでなく、お子さん自身も『どうして自分だけ別のクラスに行くの?』と感じるかもしれませんね。でも集団の授業では理解が難しい子でも、1対1の丁寧な学習支援を通して理解できたり、コミュニケーションの指導を受ければ対人関係が楽になったりもします。支援学級や通級は、その子が持つ能力や良さを伸ばすためのものと考えてください」

 と佐藤先生。学校の中に多くの相談先を見つけることも重要だと言います。

「担任、学年主任、コーディネーター、カウンセラー、養護教諭などいろんな先生とつながって、困りごとや必要な配慮を、みんなで共有することが支援の基本です」(佐藤先生)

 発売中の「AERA with Kids春号」では、発達障害の基本的な情報や体験談なども詳しく紹介しています。(取材・文/玉居子泰子)

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玉居子泰子
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