今回の拡散を「自動的に投稿を続けるボットによるもの」「同じ人が大量にツイートしている」などと指摘する人もいた。政府・与党関係者も“世論”とは見ていないと伝えられる。

 実態はどうなのか。前出の鳥海准教授はハッシュタグが付いた、11日15時までの473万ツイートを分析した。その結果、ボットに特徴的な傾向はなかったが、一部のユーザーがリツイートを繰り返しており、2%のアカウントによって約半数の投稿がなされたという。拡散に関わったアカウントは約58万8千、自らハッシュタグを付けてツイートしたアカウントは31万9千だった。鳥海准教授は言う。

「58.8万アカウントが拡散に関わっているのは“バズった”と言われる事例のなかでも比較的多く、大きなムーブメントと言ってもいいと思います。一方で、総ツイート数600万という数字にも実体はありません」

 三浦教授も、民意の一端を示しているとしつつもこう話す。

「政権側が“一時的な騒ぎ、民意ではない、すぐに忘れる”などと発言する現状には、有権者にも責任があります。一時の流行ではなく心からの抗議だと示すには、必ず選挙で投票することです」

(編集部・川口穣)

AERA 2020年5月25日号

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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