「原始的かもしれませんが、よく食べ、よく眠り、よく笑うことが今の一番の薬だと思い、毎食しっかり作りました」

 最初の1週間ほどは、家のなかでもほとんど顔を合わせず、ドア越しに「生きてる?」「元気?」と声をかけたり、LINEを送りあったりした。妻の感染に動揺していたチェリーさんも少しずつ前向きな気持ちを取り戻していったという。

「奥さんが明るくいてくれたのが大きかったですね。2週間目に入ったくらいから距離を保ちながら歌ったり、踊ったりしていました」

 自宅隔離が始まって16日後、妻の「健康観察期間」は過ぎたが、厚生労働省は感染者の家族に対し、「感染者の症状が軽快してから14日間経過するまでは、健康状態を監視することをお勧め」している。買い物などが禁止されているわけではないが、チェリーさんはしばらく健康観察期間が続いた。この1カ月を振り返りチェリーさんはこう語る。

「予防は意識していても、感染への覚悟はできていませんでした。隔離生活は大変でしたが、周りの人に助けられました」

 妻の感染を知ってぎくしゃくした知人もいたが、買い物を手伝ってくれたり、冗談を言って笑い飛ばしてくれる仲間もいた。

「芸人仲間の笑いが、一番の支えでした。自分も芸人なので、一日も早く笑いの現場に戻りたい。そのためにも、今はステイホームでチェリーFightです」

(編集部・福井しほ)

AERA 2020年5月18日号

著者プロフィールを見る
福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

福井しほの記事一覧はこちら