これが意味することは、「一斉」から「バラバラ」へという動きです。一斉に一方向に教室で教えるという学校システムが機能しなくなり、いま子どもたちはバラバラに自宅で学習する状況に置かれています。

 これからは、学校に行けば自動的に知識が身につくとか、塾の言うとおりにすれば受験は突破できると考えるのではなく、自分でネットを駆使して学ぶスタイルを武器にした子が強くなっていくと思います。自分のイニシアチブで何をどこまで追いかけていくと特定の知識が得られるのか、どの情報源が信用できるのか。そうした判断も含め、みながバラバラに学ばざるを得ない今の状況は自分のスタイルを作る絶好のチャンスだと捉えるべきです。

 もちろん10歳以下の子どもには動機づけや周囲のサポートが必要です。そのためにも学校の早期再開が望ましいのですが、それは叶わない。だとすると自主教材やオンライン授業にいち早く取り組んでいる塾などを利用するしかないでしょう。

「一斉」でなくなれば当然、先生側の変化も加速します。公立の先生もオンライン授業に参戦していかざるを得ないでしょう。授業が画面の中で比較されていくので、付加価値を生み出せない先生は消えていきます。

 オンラインで人気の先生の授業を選べるようになるということには別のチャンスもあります。小、中、高校時代に一人でもお世話になったと思える先生がいれば幸せだと思いますが、僕はよく中高生に、今のうちにネットの向こうにいる恩師を見つけておきなさいと言っています。それは英語でもギターでも囲碁でも将棋でもなんでもいい。ポイントは、「先生」「生徒」という上下の関係ではなく、「お兄さん」「お姉さん」「おじさん」「おばさん」というようなナナメの関係で探すこと。

 自分の恩師を学校以外からネットで探すのは親の世代にはできなかったことです。その恩師は地球の裏側にいるかもしれない。どうですか、ワクワクしませんか? ネット上の恩師を見つけられた子は、コロナ騒動を越えて一皮むけていくのだろうと思います。

(構成/編集部・三島恵美子)

AERA 2020年5月18日号