元公立小学校校長で、現在NPO法人「みんなのコード」で教育支援部の主任講師を務める福田晴一さんはこう言う。

「現場の先生たちは何とかテクノロジーを活用できないか、模索している人が多いんです。動画を作ってホームページに上げ、電話で様子を聞くなど、貧弱でも双方向のコミュニケーションをなんとか作ろうとしている先生も多くいます」

 例えば、兵庫県尼崎市の松本眞教育長のように、全国に先駆けてICTを活用した動画や教材の提供、インターネット利用が困難な児童生徒への支援などを表明し、リーダーシップを発揮している先生もいる。ただ、それは「全体から見ればごく一部だ」と福田さんは言う。

「今はせっかく学校という時間軸と空間軸から子どもたちが解き放たれているのに、今までの “同じ空間で、同じ時間に、同じ教育内容を、同じ取り組み”で行われていた授業をそのまま提供しようとして、強制的な『宿題転送」しようとするのは愚の骨頂でしょう。今だからこそ、教科を中心とした“勉強”より、自由研究のような “児童主体の学び”にシフトできないか……と思います。その学びを『総合」の位置づけにすれば、学校再開後は総合の時間を教科学習に置き換えることもできます。子ども主体に考えれば、いろいろとアイデアは沸いてくるはずです」

 5月末で緊急事態宣言が終わっても、これから第2波、第3波が来ることも考えられる。そのとき、子どもたちの学びは今の形でいいのだろうか。今こそ、親が声を上げるべきかもしれない。

(文=AERA with Kids編集部・江口祐子)

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