「この指摘を盛り込んだのは、米国の専門家と意見交換した際、辺野古新基地建設の費用を別の防衛装備に使ったほうが、軍事的に意味があると言われたことが印象的だったからです。今後も膨大な税金をつぎ込む辺野古新基地建設は、日本国民全体の負担という問題意識もありました。コロナ危機を受け、日本の経済財政はさらに悪化していくことが予想される中、この莫大な費用が日本の財政負担になることはより切実な問題になっていると思います」

 将来の地盤沈下対策などを考えるとさらなる予算の膨張は必至だ。野添さんはこう続ける。

「コロナ後の世界を見据えて、また海兵隊が戦略を見直している今だからこそ、辺野古なき普天間返還に向けた議論に日米両政府は沖縄県とともに取り組むべきだと思います」

 既定路線にこだわり不合理な政策に血税を注ぎ続ける安倍政権と官僚。そのつけは全ての国民に回される。(編集部・渡辺豪)

AERA 2020年5月18日号より抜粋

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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