中川 章さん(44)/愛知県豊橋市で飲食店経営(本人提供)
中川 章さん(44)/愛知県豊橋市で飲食店経営(本人提供)
笠木ルミ子さん (56)/東京都武蔵野市で美容室経営(写真:本人提供)
笠木ルミ子さん (56)/東京都武蔵野市で美容室経営(写真:本人提供)

 新型コロナウイルスの影響で、多くの経営者たちが悲鳴を上げている。AERA 2020年5月4日-11日合併号では、飲食店と美容室の経営者に話を聞いた。

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●客のため営業継続 固定費支出が不安
笠木ルミ子さん(56)東京都武蔵野市で美容室経営

 電車通勤のスタッフを5月6日まで自宅待機にし、最小限の人員で営業を続けています。お客様の中には美容院で髪を整えることで気持ちが前向きになるという方もいます。つらい時だからこそ、明るさを取り戻すきっかけになればという思いで感染予防策を最大限講じながら営業を続けています。入店時にこちらで用意した新しいマスクを着けてもらい、換気と消毒をこまめに行うほか、5台あるシャンプー台も1人ずつの利用に制限しています。不安なのは固定費の支出です。店の家賃やスタッフの社会保険料は売り上げが落ちても出さなければいけません。雇用に対する助成や中小企業に対する支援金について税理士や社会保険労務士に相談中ですが、もらえるまでには時間がかかりそう。うちのように個人経営の場合、そこまで持ちこたえられない事業者もいると思う。どの店も資金ショートが一番の心配事ではないでしょうか。一経営者として家賃だけでも安心感を持たせてもらえる方法はないかと思います。

●補助金待てない 今やれることから
中川章さん(44)愛知県豊橋市で飲食店経営

 愛知県豊橋市と蒲郡市で飲食店を経営しています。3月上旬、蒲郡市で起こった感染者の意図的な飲食店立ち寄りがニュースになり、客足がパタリと止まりました。蒲郡市の店舗は大型観光施設内にあり、ビュッフェ形式が売りでしたから影響が大きく、1日の利用客が1組にまで落ち込みました。仲間うちでは“バラマキショック”と呼んでいました。その後少し客足が戻ったけど、東京の外出自粛要請、緊急事態宣言ですっかり客足が途絶えました。店では社員とパート合わせて約80人を雇用している。都会と違ってウーバーイーツもない。他の自治体でテイクアウト店の情報発信をはじめたニュースを見て、自分たちのところでもできたらとSNSで呼びかけたら、豊橋市のプロバスケットボールチーム三遠ネオフェニックスからサイト制作支援の申し出があり「東三河食べ支えプロジェクト@豊橋」が立ち上がりました。補助金がもらえるまでには手間も時間もかかる。やれることからやるしかありません。

(構成/編集部・深澤友紀、ライター・宮本さおり)

AERA 2020年5月4日-11日号