非常事態だからこそ、会社の本当の体質も露呈する(c)朝日新聞社
非常事態だからこそ、会社の本当の体質も露呈する(c)朝日新聞社
AERA 2020年4月27日号より
AERA 2020年4月27日号より
AERA 2020年4月27日号より
AERA 2020年4月27日号より

 新型コロナウイルスの拡大を防ぐため、在宅勤務をする人が増えてきた。一方で、出社せざるを得ない事情を抱えた人も多い。その「出社」があるからこそ「在宅」ができる側面もある。アエラでコロナ禍の出社に関するアンケートを実施したところ、400人を超える人から声が寄せられた。

【アンケート「緊急事態宣言が出ても出勤しなければならない理由」の最も多かった回答は?】

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 アンケートに回答した人の実に93.5%が、7日の緊急事態宣言発令の後も「出社した」と回答した。アンケートの性質から「出社した」が多くなることを考慮しても、かなりの人が出社を余儀なくされているといえよう。

 なかでも、紙文化、ハンコ文化のために出社を続けなければならない状況は、悩みの種だ。

 卸売りの会社で経理を担当する50代の女性は、神奈川県から都内へ通勤している。

「取引先に出す請求書には社判と自分の認印を押さなければ書類が認められません」

 出勤の日数こそ減らせたが、どうしても出社の必要がある。電車での感染を恐れ、片道1時間半以上をかけて自転車通勤を試しているという。

 アンケートでも「書類などの現物確認作業がある」「データ化されていない資料が会社にある」などの声が多く聞かれた。

 コロナ禍のような事態を想定して準備を重ねていた企業は、多くないだろう。だが、この事態に至っても、いまだ思考停止状態の上司・経営者のために現場に駆り出される人たちもいる。

 北海道で地域おこし協力隊として働く女性は、市民活動のサポートなどが主な仕事。町内会の会合なども軒並みなくなり、この状況では特に仕事もないという。「やることないね」。そんなことを言いながら、同僚とオフィスにいるだけだ。

「市民の目があるので休みにできないと思っている市の体制に違和感を覚えます」

 神奈川県の病院で事務職を務めるパートの女性は、こう言う。

「医療業は在宅勤務要請の範疇には入っていませんが、ひと口に医療業といってもさまざま。私のように不要不急の業務でない事務職もあります。それを一緒くたにして上司は『病院なんだから関係ないでしょ?』という感じ。それぞれの業務ごとに判断をすれば、もっと人を減らすことも可能なはず。自分自身感染しているかもしれないのに、患者さんに会わなくてはならないのが大変なストレスです」

 医療従事者や病院関係者の感染は、日増しに問題になっている。診療サービスの一部を停止した医療機関も少なくない。そんな中、女性のように「感染しているかもしれない」と思いながら出勤しなければいけないのは、精神的に苦痛を伴う。

 一方で、こんな声も。

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