イラスト:宮野耕治(AERA 2020年4月27日号より)
イラスト:宮野耕治(AERA 2020年4月27日号より)
イラスト:宮野耕治(AERA 2020年4月27日号より)
イラスト:宮野耕治(AERA 2020年4月27日号より)

 在宅勤務に移行してから、運動不足やストレスなどによる不調に悩まされる人も多いだろう。AERA2020年4月27日号では、専門家に自宅で手軽にできる解消法を聞いた。

【画像】自律神経を整える呼吸法はこちら

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 足を肩幅に開き、椅子に座るイメージでお尻を下げる。簡単だが、足やお尻にじんわり効いているのがわかる。北海道在住の女性ライター(28)はここ4週間、仕事前と就寝前のスクワット10回3セットを欠かさない。女性は言う。

「一日のスタートが気持ちよく切れ、仕事をする気がわいてきます。精神安定剤ですね」

 女性は2月28日ごろから、ほとんど家から出なくなった。感染拡大前は取材のために道内各地に出かけていたが、今や一日中机の前に座り、パソコンで原稿を書くかテレビ電話で取材するかだ。歩くのは、トイレに行く時と食事をとるときぐらい。以前は月に数回、ジムに通っていたが、いま1日の歩行数は、300歩くらいだろうか。

 体がなまると食事も進まず、やる気も出ず、朝はテレビの前にダラダラと座ってしまい、仕事に取り掛かれない。これではいけないとユーチューブで「家でできる筋トレ」を検索、実行したところ生活にメリハリがつき、仕事もはかどるようになったという。

「気持ちが明るくなりました。ごはんもおいしく感じます」

 筋生理学の専門家で東京大学の特任研究員の石井直方さん(65)は、在宅勤務で運動不足になりがちな今、自宅での筋トレは非常に有効だという。

「筋肉を衰えさせないのはもちろん、自律神経や内分泌系のバランスが整い、精神安定につながることが科学的に証明されています」

 自律神経とは末梢神経の一つであり、血管の拡張・収縮や呼吸などをコントロールする重要な役割を果たしている。起きているときや緊張時に優位になる交感神経と、就寝時やリラックスしているときに優位になる副交感神経があり、この二つのバランスがとれていることが大切だ。筋トレ中は交感神経が活性化するが、終われば副交感神経が優位になってメリハリがつくため、筋トレには自律神経を整える作用がある。また筋トレは“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンの分泌を活性化させるため、気分が安定する。

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