「感染症の流行は災害のひとつであり、災害を乗り越えるには、人と人とのつながりや絆が欠かせません。しかし、パンデミックは一般的な自然災害とは違い、つながりが遮断される。これをどう維持するかがカギなのです」

 もちろん、感染爆発を防ぐことが喫緊の課題であるいま、直接的な接触は極力避けるべきだ。それでも、つながりを維持することはできる。

「インターネットなどでも気持ちを伝えあうことはできます。家族や友人と励ましあったりねぎらったり、時には愚痴を吐き出したりすることがとても重要です」(太刀川教授)

 ほかに、リラックスすることも大切だ。音楽を聴く、ゆっくりお風呂に浸かるなど方法は人それぞれだが、ポイントは脳の緊張状態を和らげること。一般的に言われている通り、適度な運動も非常に効果が高い。

 いま、あらゆることを不安に感じるのは自然な反応だ。

「不安に感じる自分を恐れることはありません。デマに惑わされず、冷静に行動しましょう。ただし、不眠や拒食になって日常生活に支障があるなら、受診を勧めます」(同)

(編集部・川口穣、ライター・井上有紀子)

AERA 2020年4月27日号

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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