新型コロナウイルス感染拡大の影響で、大きく変化を迫られている学びの現場。学校では、家庭ではどんな対応をしているのか、AERA with Kids編集部が継続的にリポートしていきます。3回目のテーマは、「対話型授業はオンライン化できるか?」。“探究型学習塾”として知られる知窓学舎代表の矢萩邦彦さんにお話をうかがいました。

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 私が塾長を務めている「知窓学舎」は、小学生から高校生までを対象とした探究型学習塾です。学習塾である以上、学力の向上は目指しますが、重視しているのは「これからの社会で生きていくための力を養うこと」です。

 コンセプトは、「すべての学習に教養と哲学を」。

 すべての授業が、教科書ベースでなく、「対話」を重視した指導をしています。「対話的学び」のメリットは、いろいろな人の多様な意見を受け入れ、影響を受けた上で自分の意見を再構築して伝える、というコミュニケーションの応酬にあります。これによって、生きていくために大切な「自分軸」が作られていくと考えています。

 さて、そんな「対話」がメインのこの塾でも、3月中旬からオンラインへの移行を始め、3月末には私が担当するすべての授業をオンラインに切り替えました。ここでいうオンライン授業とは、生配信による双方向の「ライブ授業」です。

 もちろん、授業をあらかじめ動画で録画しておいて配信するという方法もあります。

 これならば、見る時間に制限されずに何度も見直しが可能であり、自分のペースで学ぶこともできます。しかし、それでは「対話的学び」にはなりません。

 私はオンライン授業でも「対話」ができる「ライブ授業」にこだわっています。

 オンラインでの対話的なライブ授業を成功させるためにはどうしたらいいのでしょうか。この1か月で気が付いたことをまとめてみます。

1.「対話的」なオンライン授業は少人数で

 そもそも、対話的なアクティブラーニングを成功させるためには、「人数」が大事です。今回、私たちの塾がオンライン化にうまく切り替えられた理由は、今まで「少人数制」を貫いてきたことが大きかったと思います。

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AERA編集部
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