「5、6年前からコラボしようという話はあって。うちらはタイミングが合えばいいなぁと思いつつ、具体的にはなにも動いてなかった。今回はスタッフがグイッと段取りを組んでくれて実現しました」(ボーズ)


「ライムスターはちゃんとしてますよね。うちらにはない日本語ラップをしっかり盛り上げたいっていう使命感がある」(アニ)

 スチャダラパーにはコラボのイメージも強いが、なかでも記憶に強く残るのは、小沢健二とのコラボシングル「今夜はブギー・バック」だ。

「オザワ君と楽しんでやって売れたことが、とにかく大きい。それでスチャダラとコラボすると楽しそう、みたいな感じがずっとある。のちにリップスライムとやらせてもらったり、清水ミチコさんや、デビューしてすぐに谷啓さんとご一緒させて頂いたり、いろいろな方とコラボさせてもらいました」(ボーズ)

 今回の新作は3パターンのパッケージがあり、それぞれに人気曲10曲の「和楽器」「オルゴール」「ボサノバ」アレンジのインストゥルメンタルCDがついている。なぜか。

「当たり前ですけどないんですよ、ラップのイージーリスニングって」(アニ)
「たとえば蕎麦屋で琴のBGMがかかっていて、この曲なんだろう、あ、(小沢健二の)『ラブリー』だみたいなことがあったりする」(シンコ)
「そういうのうちらないから、だったら作ってみよう、みたいな。ある種の憧れと、(インストで)台無しにされた感の両方です」(ボーズ)

 自分たちのペースで、好きな仕事だけやる──ある意味文化系男子の夢のような存在だ。

「30年をならすと、トータルで最大週3日労働でしょう、週2日かもしれない」(ボーズ)
「(新型コロナウイルスの対策で)フリーランスへの所得補償が最低賃金で4時間勤務相当なのは酷すぎですが、自分たちは、そんなものだろうと」(シンコ)

 配信シングル版「Forever Young」のアートワークには、杖をついたスチャダラパーとライムスターの計6人が写っている。これからも死ぬまでスチャダラパーですか?

「いまのところそう。いよいよ引き返せない」(アニ)
「世界情勢や国の音楽への対応なんかを見ているとラップだけでは大変かも、でもスチャダラパーという屋号は何をやっても自由だからね」(ボーズ)

(文中一部敬称略)(朝日新聞出版・小柳暁子)

AERA 2020年4月20日号