最初がデニムパンツに紺のブレザーを合わせる「通学スタイル」。「ご静養スタイル」「ご自宅スタイル」ときて、「ご公務スタイル」が二つ。白のパンツに白ブラウス、白のケープを重ねたコーデで締めるところが心憎い。

 ケープと言えば、上皇后美智子さま(85)の定番中の定番だ。しかも愛子さまは、幼い頃からケープを愛用していると写真と共に紹介している。愛子さまはケープがお好きなようだ。

 解説文を紹介しよう。

<大学生になり、お一人でのご公務デビューも期待される愛子さま。たとえば、国際会議のレセプションにご出席なさる場合、格式の高さを印象付けるケープを愛用されている美智子さまをお手本になさっては。(略)手足の長い愛子さまだからこそ着こなせるパンツを選んで、ご成婚前の雅子さまがそうであったように、かっこいい女性像をイメージしてみました>

 短い文章の中に、「愛子天皇待望論」のエッセンスが詰まっていると思う。注目ポイント1は、「国際会議のレセプション」だ。

「愛子天皇」が論じられる時、常に愛子さまの超優秀さが語られる。学習院女子高等科でトップクラスの成績→偏差値は72→東大も狙える→語学力も抜群。ここまでは定番。だからこその「国際会議のレセプション」だと思う。

 注目ポイント2は「手足の長い愛子さま」と「ご成婚前の雅子さま」だ。

 愛子さまの写真を見ると確かに手足がスラリと長く、今どきの18歳らしい体形だ。そして雅子さまはハーバード大→東大という経歴で、これが愛子さまの優秀さの説得力を増している。この二つが重なり、雅子さまの優秀さが今どきにバージョンアップされれば、「ご成婚前の雅子さま」の外交官以上の活躍も夢ではない。国民の弾む心が見えてくる。

 もう一つ、注目ポイントを付け足すなら、「美智子さまをお手本に」だろうか。天皇家のつながりを示唆しているように感じるのだ。

 愛子さまが「天皇家で育っている」と強調する記事が時に混ざるのも「愛子天皇待望論」の特徴だ。今の制度のままなら次世代の天皇となる悠仁さま(13)が秋篠宮家で育っていることと対比するもので、愛子さまは「父の背中」を見て帝王教育を受けていると指摘したりもする。このグラビアがそこまで意図していないことは承知している。だが美智子さまご愛用のケープを、愛子さまが好んで着る。そういうことが「安心感」になり、ひいては「愛子天皇」への期待となるように思うのだ。(コラムニスト・矢部万紀子

AERA 2020年4月13日号より抜粋

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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