「女性天皇」の議論は見送りという方針が最近報じられた。だが、世論とは大きくずれている。今までのまま同じことを続けても何も変わらない。今、日本にはそんな空気が満ちている。AERA 2020年4月13日号では、雑誌の記事から「愛子天皇待望論」を読み解いた。
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4月3日に予定されていた入学式は中止になってしまったが、天皇家の長女・愛子さま(18)は大学生になった。学習院大学文学部日本語日本文学科1年生。
学習院女子高等科を卒業するにあたって愛子さま、陛下(60)と雅子さま(56)、それぞれの「御感想」が発表された。どちらも結びが「新型コロナウイルスの感染拡大の終息」を願う言葉になっていて、2020年春の重苦しさを物語っている。
愛子さまをめぐる報道も、このところ重たいものが多かった。
<「愛子皇太子」を潰したのは誰か>(「女性セブン」2月27日号)。<「愛子天皇」議論を闇に葬った「安倍官邸」>(「週刊新潮」3月5日号)。
眉間にしわが寄っている。そんな感じの見出しが並ぶ。安倍政権ゆえだ。令和になって盛り上がる「愛子天皇待望論」と真逆の姿勢だと報じられたのだ。
2月1日、共同通信が「皇位継承策の見送り論が浮上」というニュースを配信。続いて16日、読売新聞が「女性・女系天皇議論せず 政府方針」と1面で報じた。有識者懇談会も設置せず、男系男子による継承を維持する、と書かれていた。
安倍首相のコアな支持層が望む通りの方向だから「想定内」とも言えるが、世論とのずれは大きい。朝日新聞の世論調査(19年4月)では「女性も天皇になれるようにした方がよい」が76%、共同通信の世論調査(同10月)では「女性天皇を認めることに賛成」が81.9%だったのだ。
そもそも17年に成立した「皇室典範特例法」は、付帯決議で「安定的な皇位継承を確保するための諸課題」や「女性宮家の創設」などを速やかに検討するよう政府に求めている。これについては菅官房長官が2月10日、「(4月19日の)立皇嗣の礼終了後にさまざまなことを進めていきたい」と明らかにしている。読売新聞にのっとれば「何もしないこと」を進めるのだろうか。こちらの眉間にも、しわが寄ってしまう。
と書いたそばから何なのだが、愛子さまのことを考えると、しわが長続きしない。それが人情というものと、確信したのが「女性自身」4月7日号だった。
「ご提案! 愛子さまに着ていただきたい服」というグラビアが載っていた。「JJ」などのファッション誌で活躍するスタイリストによる五つのコーディネートを紹介する華やかなページだった。